この記事でわかること
※青字をクリックすると、読みたい項目まで移動できます。
一口に教員採用試験といっても、試験内容や傾向は自治体によって異なります。
そのため、「どうやって対策すればいいかわからない」という人は多いです。
限られた時間を有効活用するには、対策を始める前に内容や傾向をしっかり理解することが重要。
本記事では、岡山市教員採用試験の内容と傾向を解説しています。対策方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
*他自治体の内容について、詳しくは「【令和6年度採用】教員採用試験の内容一覧を解説【全国66自治体】」をご覧ください。
岡山市教員採用試験の内容
岡山市教員採用試験は、岡山市教育委員会が行う公務員試験の一つです。岡山市内の公立学校で働く先生を募集するために実施されます。
まずは、受験資格や試験科目などの内容を解説します。
*すでに知っている方は『』までスキップできます。 傾向と対策
求める教師像
教育方針や学校の規模は自治体によって違います。そのため、求められている資質や能力も自治体によって様々です。
当然、志望先に見合った人物でないと採用されることはありません。なので、必ずどんな人物(人間)が求められているのか把握してください。
岡山市が求める教師像(人物像)は次のとおりです。
「自立に向かって成長する子ども」の育成を推進する教員
- 岡山市の教育に夢と希望をもち、使命感に燃えている人
- 子どもへの愛情をもち、自らも成長していくことができる人
- 子どもの知・徳・体のバランスのとれた力を向上できる専門的な知識・技能のある人
- 中学校区を単位とした学校園一貫教育(岡山型一貫教育)と岡山市地域協働学校の趣旨を理解し、実践することができる人
- 社会の変化や新しい教育課題に柔軟に対応できる人
- 豊かなコミュニケーション能力、社会人としての良識をもち、他者と協調できる人
「このような人物を求めている」という採用側からのメッセージなので、必ず把握、理解するようにしましょう。
極端にいえば、一定の学力があり、これらの教師像にあなたの人物像がマッチしていれば合格です。
受験資格(年齢制限)
以下の1から3の全てを満たしていることが条件となります。
募集教科と採用人数
令和6年度採用(2023年実施)試験では、全体で161人の採用を予定しています。
詳細は次のとおり。
校種 | 教科、コース | R6 | R5 |
---|---|---|---|
小学校 | 一般、英語、小中連携、特別支援教育推進 | 100人 | 100人 |
中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 55人 | 55人 |
養護教諭 | 5人 | 4人 | |
栄養教諭 | 1人 | 1人 |
昨年に比べると、全体で1人増える見込みです。
・令和6年度:161人
・令和5年度:160人
選考スケジュール
募集要項の発表から最終合格までのスケジュールは以下のとおりです。
出願期間 | 令和5年4月19日(水)~5月15日(月) |
---|---|
一次試験 | 1日目:令和5年7月8日(土) 2日目:令和5年7月15日(土)、16日(日) |
二次試験 | 令和5年8月11日(金)~20日(日) |
合格発表 | 令和5年9月21日(木) |
岡山市教員採用試験の日程について、詳しくは次の記事でまとめています。
試験内容(一次試験・二次試験)
岡山市教員採用試験は、二段階選抜方式で行われます。
- 第一次試験で実施していた総合教養試験と第二次試験で実施していた教科等専門試験を改め、第一次試験で教科等専門試験(教職教養を含む)を実施。
- 第一次試験の集団活動を改め、個人面接を実施します。
令和6年度(2023年実施)の試験内容は次のとおり。
一次試験
二次試験
まず、一次選考で受験者を篩にかけ人数を絞ります。その後、合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定。
傾向と対策方法は後述しています。ぜひ、参考にしてください。
実施状況
ここでは、過去5年間の実施状況をまとめています。
採用年度 | 受験人数 | 合格人数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 641 | 189 | 3.4 |
令和5年度 | 592 | 178 | 3.3 |
令和4年度 | 613 | 165 | 3.7 |
令和3年度 | 673 | 161 | 4.2 |
令和2年度 | 556 | 160 | 3.5 |
岡山市教員採用試験の教科別倍率について、詳しくは次の記事でまとめています。
岡山市教員採用試験の傾向と対策
ここでは、岡山市教員採用試験の傾向を試験ごとにまとめています。
それぞれ順番に解説するので、参考にしてください。
総合教養(教職・一般教養)
「教職教養科目(学習指導要領や学校教育に関する法律など)」と、「一般教養科目(高校までに習った基礎学力)」で構成される筆記試験です。
概要は次のとおり。
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 20問 |
出題形式 | 穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
出題科目
過去3年間の出題科目と問題数は次のとおり。
採用年度 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
---|---|---|---|
教育原理 | 7 | 6 | 5 |
教育法規 | 1 | 1 | 2 |
国語 | 2 | 2 | 2 |
英語 | 2 | 2 | 2 |
世界史 | – | – | 1 |
地理 | – | – | 1 |
政治 | 1 | – | – |
経済 | – | 1 | – |
国際関係 | 1 | – | – |
数学 | 2 | 2 | 2 |
物理 | – | 1 | – |
生物 | 1 | 1 | – |
地学 | 1 | – | 1 |
その他 | 2 | 4 | 3 |
- 上記の出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
- その他には、岡山市教育施策や一般常識・時事が含まれます。
このように、誰もが一度は勉強したことのある内容ばかりです。しかし、科目数が多すぎるので、対策に苦労している人は相当多いんですよね…。
また、1科目ごとの出題範囲も広いため、手当たり次第に勉強してはいけません。
勉強を進める前に「どの科目で点を取るのか」、「よく出る(まったく出ない)分野はどこか」といった、出題傾向を理解してからスタートしましょう。
具体的な出題傾向や勉強手順は、次の記事で解説しています。ぜひ、参考にしてください。
集団活動
集団活動とは、与えられたテーマを受験者同士が1つのグループとなって話し合ったり、作業したりする試験のことです。
話し合う過程を観察し、教員としての資質・能力を持ち合わせているかどうかを、「コミュニケーション能力」「社会性・協調性」「主体性」などの観点から評価します。
試験時間 | 30分 |
---|---|
グループ | 4~5人 |
面接官 | 2人 |
集団活動の流れ
テーマの発表
最初にグループで話し合うテーマが発表されます。
グループ活動
テーマにそって25分程度の話合いや作業を行います。
感想
最後に1人1分程度で感想を言って終了となります。
集団活動の過去問
- あなたたちは,全国展開するコンビニエンスストアの社員という設定である。このたび,新たにコンビニエンスストアを出店することになった。どのような商品を置き,どのように陳列するのか考えなさい。
- あなたたちは,全国展開する家具・インテリア会社の社員という設定である。このたび,新たに家具・インテリア店を出店することになった。どのような商品を置き,どのように陳列するかを考えなさい。
- あなたたちは,全国展開するショッピングモール店の社員という設定である。このたび,新店舗内にフードコートを設置することになった。どのような店舗を出店し,どのように配置するかを考えなさい。
自分の発言だけに全集中するのではなく、他の受験者の意見を聞くことや自分の意見が他の受験者にどのように受け止められたのかなど、周りの状況にも注視することが大切です。
教科専門試験
志望する校種・教科の専門知識や学習指導要領の理解度を測る筆記試験です。
配点が高く、指導教科の専門性を問われるので多くの勉強時間が必要という特徴があります。
概要は次のとおり。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式と記述式 |
配点 | 100点満点 |
問題レベルは、その教科に関する基礎的な知識から高度な専門知識まで幅広いです。
たとえば、小学校算数の場合、四則演算や分数などの基礎的な知識から、面積や体積、比例などの応用的な問題まで、様々なレベルの問題が出題されています。
また、中学校の場合は、中学校で学ぶ基礎的な部分から高校の教科書や大学の入試問題などを参考にした、高度な問題が出題されることもあります。
その他、学習指導要領も出ているので注意が必要です。
対策方法
まずは志望する校種・教科の過去問を解いてみて、現在の実力を確認してみてください。そうしないと、何から対策すればいいか判断できません。
現在の得点から以下のように勉強プランを考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
教科専門を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、厚く勉強することが大事です。
教科専門の勉強方法について、詳しくは次の記事で解説しています。
実技試験
実技試験とは、教科・科目に関する実践力を備えているのか評価する試験です。
対象校種・教科は以下のとおり。
音楽 | ①「ピアノによる弾き歌い」:学習指導要領に示された歌唱共通教材『赤とんぼ』『荒城の月』『早春賦』『夏の思い出』『花』 『花の街』『浜辺の歌』のうち、当日指示する1曲を、前奏付きで2番まで演奏する。 ②「アルトリコーダーによる新曲視奏」 |
---|---|
美術 | ①「デッサン」 ②「立体造形」 |
保健体育 | ①「器械運動」:マット運動、跳び箱運動 ②「球技」:ゴール型、ネット型、ベースボール型のいずれか1種目を当日指定 ③「武道」:柔道、剣道のいずれか1種目を出願時に選択 ④「ダンス」:創作ダンス |
技術 | 「製品の製作」 |
家庭 | 「布を用いた製作」 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
個人面接
個人面接とは、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが岡山市の教師として相応しいかどうかを評価・判断する人物試験のことです。
概要は次のとおり。
試験時間 | 20分 |
---|---|
面接官 | 2人 |
評価基準 | ・コミュニケーション能力 ・意欲的態度 ・教育的愛情 ・社会性、協調性 など |
個人面接は、あなた1人に集中して様々な観点から話を聞けるため、あなたの特性を正確に評価できます。
たとえば、「どんな学級づくりをしたいですか」という質問に「笑顔があふれる学級」と回答しただけでは、まだあなたに教育的愛情やコミュニケーション能力があるかは判断できません。
そこで、「なぜ、笑顔があふれる学級にしたいのですか」とか「笑顔が苦手な子どもがいたらどうしますか」など、より理解を深めるために掘り下げた質問をして、正確に評価を行えるような情報を聞き出し、評価するのです。
より具体的な情報を面接官に伝えることができるかどうかが合否を分けるポイントなので、自己分析に時間をかけて語れるように準備しましょう。
岡山市教員採用試験の面接について、詳しくは次の記事で解説しています。
模擬授業・口頭試問
模擬授業とは、与えられたテーマをもとにして、実際の授業風景を披露する試験のことです。
志望教科の専門性や指導力だけでなく、どのように(な)授業をしているのか、児童生徒の興味・関心を惹きだす内容か、などを総合的に評価されます。
概要は次のとおり。
試験時間 | 20分 |
---|---|
面接官 | 2人 |
評価基準 | ・教科指導に関する専門性 ・児童生徒の理解 ・柔軟性 ・コミュニケーション能力 ・教育的愛情 |
模擬授業の流れ
テーマの発表
試験日当日にテーマが発表されます。
制限時間3分で構想。
模擬授業
6分間の模擬授業を実施
口頭試問
全員の模擬授業が終わると、10分程度の口頭試問(質問)に回答します。
模擬授業の過去問
小学校 | 算数「分数と少数」 |
---|---|
国語 | 「俳句」 |
社会 | 「近代文化の形成」 |
理科 | 「原子・イオンのまとめ」 |
英語 | 「受動態」 |
養護教諭 | 授業中に突然泣き出した中学生女子が来室し,「何も聞かないでください」と言われたときの対応 |
栄養教諭 | 「ごはんとみそ汁」 |
塾や予備校のようなやや強引な展開で授業を進める人もいますが、学校での授業では、子供とのやり取り・掛け合いが非常に重要。発問や質問を重ねて、クラス全体で授業を「つくっていく」ことを意識して準備しましょう。
岡山市教員採用試験でよくある質問FAQ
岡山市教員採用試験は難しいのか
近年では「岡山市教員採用試験は簡単になった」と耳にすることが増えてきました。
たしかに、以前よりも岡山市教員採用試験の難易度が下がっていることは事実です。
しかし、筆記試験で点を取れば合格できるのではなく、面接試験などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
最終合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。
試験内容と傾向を再確認して、効率よく勉強を始めましょう。
今回は以上です。