佐賀県教員採用試験の中で、とくに厄介なのが、今回解説する一般・教職教養試験。
なんとなく情報を集めて勉強を始めたものの、「結局、何から始めればいいの?」と悩む方がほとんどでしょう。
事実、DMや公式LINEで相談を受けていても、的外れな(悪くいうとデタラメに)勉強をしてしまっている人が相当多いです。
そこで今回は、佐賀県教員採用試験の一般・教職教養試験について徹底解説します。試験科目や出題傾向は自治体によって違うので、必ず理解してから勉強しましょう!
佐賀県教員採用試験の一般・教職教養とは?
一般・教職教養試験とは、一次選考で行われる筆記試験の一つです。
教職に必要な専門科目と人文・社会・自然科学といった幅広い分野の知識がどれくらい備わっているのかを評価します。
科目の多い共通テスト
佐賀県教員採用試験の一般・教職教養で出題される科目は以下のとおり。
教職教養 | 教育原理、教育法規、教育心理、教育史 |
人文科学 | 国語、英語、音楽 |
社会科学 | 日本史、経済、環境問題 |
自然科学 | 数学、物理、化学 |
その他 | 一般常識・時事、佐賀県の一般知識 |
このような、大学の教職課程や中学~高校までに学んだ内容から出題されるので、科目の多い大学入試共通テストと僕は比喩しています。
共通テストとの大きな違いは、科目選択の有無です。たとえば共通テストであれば、社会なら日本史か世界史、理科なら物理か生物のように、受験に必要な科目を選択して試験を受けられます。
しかし、佐賀県教員採用試験では、全科目が必須なんですよね。なので、社会なら日本史も世界史も、理科なら物理も生物もすべて勉強しないといけません。
速解力が求められる試験
佐賀県教員採用試験の一般・教職教養は、試験時間に対する問題数が多いです。
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 50問(必須解答) |
試験時間が50分であるため、与えられた時間内に全ての問題(50問)に取り組むには、平均して1分ほどで解く必要があります。
計算問題や読解問題など、1分では解くことが難しい問題もあるため、時間配分を意識して取り掛かりましょう。
最初から解く必要はないので、「確実に正解できる分野から解く」のがオススメです!
差がつきやすい
佐賀県教員採用試験の筆記試験には、一般・教職教養の他に専門試験があります。
一般・教職教養は、どの校種・教科でも専門教科に比べて配点が低いので、対策や準備が疎かになりがちなんですよね。
一般・教職教養 | 専門教科 |
---|---|
50点満点 | 200点満点 ※音楽、美術、保体、書道は80点 ※英語は120点 |
しかし、専門試験を得意とする人は多く、対策をしっかり行ってくるため、実は一般・教職教養で一番差がつきやすいです。
もちろん、一般・教職教養よりも専門試験の方が高配点だから、専門対策が重要であることは間違いありません。でも、合格ライン上にいる人であれば誰でも、そんなことは知っているので、そのラインでの競争においては、専門試験ではあまり差がつかないのです。
一般・教職教養は科目も範囲も膨大ですし、まったく学習したことのない科目がいくつもあるため、できる人とできない人の差がハッキリでます。やみくもに手をつけるのではなく、出題傾向をきちんと理解して対策しましょう。
事実、対策に苦労している人は一般・教職教養の方が多いんですよね。
佐賀県教員採用試験 一般・教職教養の出題傾向は?
ここでは、佐賀県教員採用試験の一般・教職教養における出題傾向を解説します。
正誤問題(択一式)
佐賀県教員採用試験の一般・教職教養は、全部で50問程度ありますが、その出題パターンは「正誤問題」がベーシックです。
正誤問題は、問題文を読んで正しい(適当な)選択肢を選ぶ形式の出題です。
基本的な一般教養の知識を問われるため、最も簡単な出題形式のひとつといえます。
教職教養比重型
佐賀県教員採用試験の一般・教職教養は「教職教養分野」と「一般教養分野」に大別されますが、教職教養分野の方が多く出題されています。
たとえば、令和5年度の教職教養分野と一般教養分野の出題内訳は以下のとおり。
- 教職教養分野:31問
- 一般教養分野:19問
このように、教職教養分野の比重が大きいです。教職教養分野は大学の教職課程で初めて学習する内容なので、苦労するかもしれません。
やみくもに勉強するのではなく、後述しているデータを参考にして出題の多い科目から知識をインプットしていきましょう。
佐賀県教員採用試験 一般・教職教養を効率よく勉強するコツ
ここでは、佐賀県教員採用試験の一般・教職教養を効率よく勉強するコツを2つ解説します。
優先順位を決める
佐賀県教採の一般・教職教養は、平均10科目から出題されますが、問題数は科目によってバラバラです。
各科目の問題数は以下のとおり。
実施年 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|
教育原理 | 18 | 17 | 18 |
教育法規 | 10 | 10 | 10 |
教育心理 | 2 | 3 | 3 |
教育史 | 1 | 1 | – |
教育施策 | – | – | – |
国語 | 4 | 4 | 5 |
英語 | 4 | 4 | 4 |
音楽 | 1 | – | 1 |
日本史 | – | – | 1 |
経済 | – | 1 | – |
環境 | 1 | – | 1 |
数学 | 1 | 1 | – |
物理 | – | – | 1 |
地学 | 1 | – | – |
その他 | 7 | 9 | 6 |
科目によって問題数が全然違いますよね…。なので、やみくもに勉強するのは効率がよくないのです。
優先順位を決める際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 問題数の多い科目に集中する
- 得意科目を活かす
問題数の多い科目に集中する
一般・教職教養では、おおむね6割程度の点数が合格の目安です。なので、50問中30問くらい正解できればOK。
そう考えたときに、問題数の多い科目が重要になるとわかるはずです。問題数が多い科目で得点できなければ、30問に達するのは難しくなりますからね。
まずは教育原理と教育法規の2科目を優先的に勉強するといいでしょう。これらの科目だけで全体の55%を占めています。逆にここで点が取れないと他の科目に負担がのしかかるので気をつけてください。
国語やその他(一般常識や時事)も多いけど、ガッツリやる科目ではありません。直前に詰め込めばOKです!
得意科目を活かす
自分にとって得意な科目がある場合は、その科目を優先的に勉強しましょう。得意な科目で高得点を取ることで、合格点に近づくことができます。
しかし、問題数が少ない、出題率が低い科目はコスパが悪いです。出るか出ないかわからない科目に時間を使うのは勿体無いので、広く浅く勉強しましょう。
僕なら社会や理科は捨てますね。
優先順位を考える際には、これらのポイントを考慮しながら計画を立てると効果的です。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは配点が高い(出題数が多い)科目に重点を置き、知識をインプットしていきましょう。
なお、教員採用試験の一般・教職教養の勉強方法はこちらの記事で解説しています。
出題範囲の理解【超重要】
一般・教職教養の出題範囲は膨大ですが、最初から最後まできちんと勉強する必要はありません。
たとえば、教育原理は以下の13分野が出題範囲です。
- 教育の意義と目的
- 教育方法
- 学習指導要領
- 生徒指導
- 道徳教育
- 特別活動
- 人権・同和教育
- 特別支援教育
- 社会教育
- 生涯学習
- 学校と学級の運営
- 教育時事
- その他・総合
仮に1分野10時間かけて勉強したら、1回終えるだけで130時間かかりますよね。他にも勉強が必要な科目はあるわけでして…、これでは、とてもじゃないけど本番までに終わりません。
そこで重要なのが、過去問を分析し、どの分野がよく出題されるのかを見抜くこと。次の表にそれぞれの分野が過去3年間で何回出題されているかをまとめてみました。
実施年 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|
教育の意義と目的 | |||
教育方法 | 1 | 2 | |
教育課程 | 1 | 1 | |
学習指導要領 | 4 | ||
生徒指導 | 5 | 2 | 3 |
道徳教育 | |||
特別活動 | |||
人権・同和教育 | 3 | 2 | |
特別支援教育 | 5 | 5 | 5 |
社会教育 | |||
生涯学習 | |||
学校と学級の運営 | |||
教育時事 | 6 | 6 | 2 |
出題範囲を理解しておけば、勉強しない(後回しにする)という選択が容易になりますよ。勉強ができない人や苦手な人ほど、全範囲を勉強しがちです。しかし、出ない分野にまで時間を使うのは、時間や労力の無駄だと思いませんか。
試験科目・範囲が膨大だからこそ、出題傾向を理解して、どの科目・分野から勉強するのか、という戦略を練ることが大事です。
出題範囲を簡単に理解する方法3選
- らくらくマスターシリーズ
- Twin Booksシリーズ
- オープンセサミシリーズ
①らくらくマスターシリーズ
実務教育出版の書籍「らくらくマスターシリーズ」には、過去5年間の頻出テーマ早わかり表が集約されています。
各テーマが過去5年間で何回出題されているのか理解できるので、効率よく勉強可能です。しかし、発売時期が早いため、最新年度の出題傾向は掲載されていない点には注意。
姉妹本の「よく出る過去問224」も併せて利用すると効果的です!
②Twin Booksシリーズ
時事通信の書籍「Twin Booksシリーズ」には、過去5年間の出題頻度シートが集約されています。
各テーマが過去5年間で何回出題されているのか理解できるので、効率よく勉強可能です。利用者は多いものの、合う合わないが大きく分かれるテキストなので、一度、書店で見てみるといいでしょう。
初めて勉強する人や要点だけ理解したい人向けかな。
③オープンセサミシリーズ
東京アカデミーの書籍「オープンセサミシリーズ」には、出題傾向表がついていません。
情報量が一番多いテキストなので、これ1冊を覚えてしまえば十分です。でも、無駄なページも多く、出題傾向表がついていないので独学で勉強するのはシンドイんですよね…。
そんな問題を解消するために、過去10年間の出題内容を分野別にまとめたデータを以下の「note」で公開しています。オープンセサミを使って勉強する(している)人は参考にしてください。
佐賀県教員採用試験 一般・教職教養の出題傾向と対策まとめ
今回は、佐賀県教員採用試験 一般・教職教養の試験科目や出題傾向、効率的な勉強方法を解説しました。
一般・教職教養は科目の多い共通テストのような試験なので、問題レベルはそこまで高くありません。しかし、得意不得意がハッキリでるため、差がつきやすい試験と言えるでしょう。
問題形式は「正誤問題」の択一式で、教職教養分野の出題比率が大きい傾向があります。
佐賀県教採の一般・教職教養は、科目・範囲は広範にわたるので、やみくもに勉強するのではなく、効率よく勉強することが大切です。効率よく勉強するコツは以下の2つ。
どんな勉強でもそうですが、どれだけ時間をかけて努力したとしても、それが間違った方法であれば意味がありません。とくに一般・教職教養は未知な部分が多いので、はじめて受験する方であればこそ、正しい勉強方法を知り、効率よく勉強していくことが大切です。
まずは出題傾向の把握、そこから始めていきましょう!
過去10年間の出題傾向は『【2023年版】佐賀県教採の過去問10年分を徹底分析!一般・教職教養の出題傾向』で公開しているので、合わせてチェックしてみてくださいね。
今回は以上です。
その他、佐賀県教員採用試験の内容や対策はこちらの記事で解説しています。